こんにちは。昨日Mochi君の家の大掃除をした結果、腰を痛めてしまったNinsoraです。
でも、たまにするハードな運動っていいもんですね。久しぶりに色んな汗をかきました!!
先日から関連性理論勉強会はBilly Clark (2013)のRelevance Theory (Cambridge University Press) を読みはじめました。
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今回はPart1 Overview 1. A First Outline を途中まで読みました(遅々とした進行で申し訳ありません)。
1.1 は関連性理論のoutlineのoverviewということですっ飛ばして、今回は1.2からまとめたいと思います。
1.1 は関連性理論のoutlineのoverviewということですっ飛ばして、今回は1.2からまとめたいと思います。
間違い等あればご指摘願います。
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1.2 Expectations and meanings: a short
summary
intentional communication gives rise to expectations which help us
to decide what the communicators intends to convey.
意図的なコミュニケーションが取られた場合、受け手は「発信者が何を伝えようとしているのか」を考えます。1.2では、そのときのexpectationとmeaningに焦点を当てて、関連性理論で重要となる部分を簡単に説明します。
1.2.1 Creating Expectations
相手にとって関連性のある発話とは何か。
ということを考えるときには、次の例を考えると良いかも知れません。
(1) a. この文を読んではいけない。あなたには関係ない。
b. Pay no attention to this
utterance. It has no relevance to you.
c. لا تولي اهتماما لهذا الكلام. ليس له أهمية لك.
母語が日本語の人なら、以上の3つが並んでいた時に一番初めに目に飛び込み、意味を理解するのは恐らく1aの文です。
ほとんどの日本人にとって、一番関連性が高いのは1aの発話というわけです。
しかし、日本語を勉強したことのない英語母語話者が1aを見たとしても、(日本人のほとんどが1cに対して持つであろう印象と同様に)1aは無意味な文字の羅列としか認識されないでしょう。
このように、発話の内容以前に、受け手が理解できる言語でなんらかの発話を行ってしまえば、その時点でその発話は相手にとって関連性があると言えます。
逆に言えば、同じ発話を行っても、その関連性の程度は相手によって異なるということです。
誰かとコミュニケーションを取ろうとするとき、情報の発信者は「この情報は受け手にとって関連性が高いだろう」という前提のもと発話を行いますし、聞き手としても「相手は何らかの意図があって情報を発信しているのだろう」という期待のもとその発話を受け取ります。
誰かとコミュニケーションを取ろうとするとき、情報の発信者は「この情報は受け手にとって関連性が高いだろう」という前提のもと発話を行いますし、聞き手としても「相手は何らかの意図があって情報を発信しているのだろう」という期待のもとその発話を受け取ります。
私たちが通常行うコミュニケーションは、このような相互の期待の下で行われます。
私たちのコミュニケーションを、以上で述べたような直感を精緻化(elaboration of intuition) させる形で理解し、また説明しようとするのが関連性理論だということです。
1.2.2 How do we know what we mean? ― 関連性理論が明らかにしようとする問い
(2) a. 私たちはどのようにして、直接的に伝えられていない意味を理解するのか。
How do we manage to understand meanings which are not directly communicated?
b. 私たちはどのようにして、発信者が直接的に伝えようとしている命題を理解するのか。
How do we work out which propositions communicators are directly
communicating?
c. 私たちはなぜ時々誤解しあってしまうのか。
Why do we sometimes misunderstand each other?
例えば、売店でチョコレートを2個買おうとしたとき、おばちゃんに次のように言われたとします。
(3) They’re three for two just now.(今なら2個で3個だよ)
この発話だけを見ると、何のことを言っているのか全く分かりません。
しかし、「このおばちゃんは値段のことを言っているんだな」「チョコレートの話をしているんだな」「このおばちゃんは親切にも僕が損をしていることを教えてくれたんだな」というようなことを私たちは瞬時に理解します。
これはなぜなのでしょうか(2a)。
また、私たちは(3)の発話だけで、「今セール期間中のこの店で、といってもこのセールもそんなに長く続かないんだけど、あなたはセール商品のチョコレートを2個買おうとしているけど、実はそのセールっていうのは今あなたが持ってきたチョコレートなら3個買っても1つ分の料金はいらないっていうきゃんぺーン内容だから、今なら2個の値段で3個のチョコレートを買えるよ。」というような、省略された長々とした暗黙の想定を補い、おばちゃんの伝えようとする命題を理解します。
これはなぜなのでしょうか(2b)。
また、おばちゃんは親切で声をかけてくれたのにも関わらず、「何を言っているんだろう」「誰に言ってるの?」「俺を馬鹿にしているのか?」というような誤解が生じることもあります。
このような誤解は日常のコミュニケーションにおいては(少なくとも僕にとっては)珍しくありませんが、これはなぜ起こるのでしょうか(2c)。
今後関連性理論を勉強していけば、これらの問いについても分かるんだろうと思います。(遠い目)
1.2.3 Guiding interpretations
(4) The key idea within relevance theory is
that addressees begin by assuming that the communicator has an interpretation
in mind which justifies the expenditure of effort involved in arriving at it,
i.e. which provides enough cognitive rewards for it to be worth expending the
mental effort involving in reaching it… This could be understood as resting on
assumptions about what it is rational for communicators to do and for
addressees to expect.
これは上で述べたことと似ています。要は、受け手は「発信者は私に関連のあることしか言わないし、無駄に注目させたりはしないだろう」という期待をもって発信者に注目するということです。
別の言い方をするならば、聞き手は「注目させるからには何かあるんだろう」という予測をもって発信者に注目するということです。
このことは、私たちが子どもの頃にして怒られたあの悪戯を思い出せば分かりやすいと思います。
(5) A: ねぇねぇB君!
B: 何?
A: 呼んだだけ~!!!!!!!!!!
B: (イラッ)
B君がイラッとしてしまうのは、「注目させるからには何かあるんだろう」というB君の期待(想定)をA君が裏切り、処理労力に見合わない認知効果しか得ることができないからだと考えることができます。
1.3 Sentences, utterances and prepositions
ここで、key termとなるいくつかの語の定義を明らかにします。
【ambiguous】
日常的な用法では、単純に一つ以上の意味を持つことですが、言語学的には「一つ以上のコード化された意味を持つこと」をambiguousといいます。
日常的な用法では、単純に一つ以上の意味を持つことですが、言語学的には「一つ以上のコード化された意味を持つこと」をambiguousといいます。
即ち、通常ambiguousとは情報の受け手がdecodeする際に「いくつか解釈ができるけどどれなんだろう」と感じるものであるのに対し、言語学的なambiguousとは、情報の発信者が頭の中で考えていることをencodeする際に「こうともとれるし、こうともとれる」というような複数の意味を込めたもののことを指します。
【utterances】
ここでのutterancesとは、耳や目で物理的に知覚されるメッセージのことで、特定の人が特定の時間に、特定の場所で発したものを指します。
全く同じ発話をしても、場合によっては受け取られ方が異なることもあるのが特徴です。
つまり、思っていることを声に出したり、文字に書いたりしたら、それらはその時点で全てutterancesになります。
【sentences】
ここでのsentencesとは、言語化される以前のことばのことを指します。
だれかが以前使用したかもしれないし、何度でも使用することができる、言語学的な抽象概念です。
sentencesの全てがutteranceになるとは限らず、utteranceになったとしても、それはsentencesとは本質的に異なったものになります。
先ほどのutterancesの説明と絡めて考えると、このブログにsentencesは一切存在せず、全てutteranceで構成されていると言えます。
【preposition】
ここでのprepositionとは、一言で言えば論理的性質のことです。
utteranceを手がかりに、そのutteranceを特定的・具体的に再現します。
utteranceに出てきた代名詞や代動詞などを具体的に補うイメージです。
先生に英作文の問題を添削してもらって、 “This is not a
sentence.”という訂正のコメントを貰っても、“Yes, of course this is
not a sentence. This is an utterance.”と返せば言語学的には正解になるんだね、と言ってMochi君は笑っていました。(笑)
1.4 Communication and cognition: a fuller
overview
1.4.1Linguistic and non-linguistic
communication
言語学が答えを求める問いには、言語とは何か、どのように言語は習得されるのか、どのように言語は使用されるに至るのか、といったものがありますが、「言語」というものを考える時、どのように音声・文・動作といったutteranceを他者に理解させるかというという問いは有効です。
特に関連性理論では、ことばの意味と関連性をどのように理解し、utteranceが何を意味するのかという、いわば発話の目的を説明することが目的となります。
1.4では主に、コミュニケーションと認知についてざっと説明します。
1.4.2 Codes and inference
以前のまとめでも少し述べましたが、ここではcodeとinferenceについておさらいします。
コード(code)とは、常に特定の意味やメッセージを全く同じように伝達するものです。
信号機やルーモス信号がコードの例です。
日や気分によって、赤信号が「進め」になったり、S・O・SがI Love Youという意味になったりはしません。
対して推論(inference)とは、コード化された言葉と発信者が伝達しようとする意図の間にあるギャップを埋める認知プロセスです。
私たちが推論するとき、その発話の前にあるいくつかの前提を下に結論を下します。
三段論法みたいな感じですかね。
例えば、上司がAさんに「この部屋、暑いね」と言ったとします。
事実として部屋は暑いのかもしれませんが、上司が伝えようとした命題は他にありそうな気がします。
ここに発話と意図のギャップがあり、それを推論で埋めるわけです。
Aさんは、「確かにこの部屋は暑い」「この上司は暑がりである」「この上司はいつも遠まわしに依頼をする」「この上司は冷房の風が苦手だ」といったような様々な前提から、「窓を開けましょうか?」と提案するに至ります。
関連性理論は、まさにこのプロセスのところを説明しようとするわけです。
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今回は前回までのおさらいのような感じでした。
今後詳細に読み進めて、またUPしていこうと思うので、今後ともよろしくお願いいたします。
大掃除、本当にありがとうございました、そして申し訳ございませんでした。(陳謝)
返信削除まとめの文章、すごく面白かったです!具体例もオリジナルのものが混ざっていて、読みながらクスクス笑いがこみ上げてきました(ので、勉強会まとめノートは、このままNinsora君に書いてもらいたいと思いますがいかがでしょうか?笑)
関連性理論勉強会もですし、他の大学院の勉強もお互い頑張りましょう!
あ、部屋の掃除も現状維持できるように、全力で頑張りますorz