こんにちは、mochiです。いよいよ夏休みが始まりました。それにしても最近ブログの更新率が高いですね~!特にsava 君がついに書きましたね~。これで「1年除籍処分」を間逃れたと本人は言っていましたが、これから記事を更新しないメンバーについては、タイトルのフォントサイズを少しずつ小さくしていくことにしました(笑)
記事をアップしないで半年すると、タイトルの「もちサバニン日和」の自分の名前が少しずつ小さくなり始めますので、メンバーの皆さん気をつけてください。3年後はフォントサイズを「1」とさせていただきます。(といって3年後には全員消えてたりしてww)以上、業務連絡でした(笑)
さて、関連性理論勉強会のまとめ第二回をアップします。
今回は特に、表意と推意、概念的意味と手続き的意味、記述的用法と解釈的用法、関連性理論の応用、について扱いましたので、これらのまとめを載せます。
前回・今回は『現代言語学の潮流』を基に行いましたので、本書の3-B の「関連性理論」の範囲をもとに行っております。関連性理論の概要については前回のNinsora君のまとめノートに詳しいのでそちらを参照してください。以下では関連性理論の原則そのものというより、関連性理論で用いられる区分や用語の説明が中心になります。
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■ 表意 (explicature) と推意 (implicature)
表意とは「発話された言語表現から聞き手がキャッチできる明示的な (explicit) 命題 (あるいは想定)」 (東森, 2003, p.158) である。たとえば、「あれが欲しい」という発話を私がしたとき、次のような表意を作ることができる。
(1) 「私はあれが欲しい」
(2) 「私はソファが欲しい」
(3) 「私はソファが欲しいと私があなたに言う」
(1) は主語、(2) は指示語、(3) は発話行為がそれぞれ補完されており、より完全な命題形式にとなっている。表意を形成するには他にも複数の解釈が可能な意味・構造を限定したり、文から必然的に補充できる語を付け加えたりできる。
表意は他にもアドホック概念形成も含まれる。アドホックとは「その場限りの」を意味し、本来その語が持たない意味がその場限りで創発される用法を指す。たとえばfish という語は本来「魚一般」を指すが、 The fish savagely attacked the young swimmer.という文においてfish は「サメのような大きく凶暴な魚」を指し、イワシやアジのような小魚は排除される。あるいはflatmate が「部屋を共にする人」という意味であるが、Here's my new flatmate (referring to a newly acquired cat). では、「人」のみならず「猫」も含んだ意味でのflatmateである。このように、従来その語が持つ意味が狭まったり広がったりすることでアドホックな概念が形成される。
それに対して推意はその文が直接言っていなくても暗示しているものを指す。冒頭に出した「あれが欲しい」という文も、「mochiがあなたにこのようなことを言うということは?」と前提を考えれば、「あなたにソファを買って欲しがっている」という結論が導き出されるかもしれないし、「mochiは最近バイトをがんばっている」という前提があれば、「mochiはソファを自分で買おうとしている」という異なった結論が得られるだろう。
■ 概念的意味と手続き的意味
概念的意味は「世界の状況を記述したもの」 (東森, 2003, p.160) であるのに対して、手続き的意味は「計算のための情報を記号化したもの」(ibid, p.160) である。概念的意味は名詞(りんご、ゴリラ、ベル、パソコン、など)や副詞(うれしく、悲しく)、形容詞(赤い、黄色い、)などがあり、これらは世界にあるものや様子を記述するために使われます。それに対して、手続き的意味はディスコースマーカー(しかし、えっと)などがあり、これらは世界に対応するものが存在しません。また、概念的意味は私たちは言葉で説明することが可能ですが、手続き的意味はあらためて言葉で説明することはむずかしいです。
■ 記述的用法と解釈的用法
記述的用法 (desriptive use) の発話は現実の状況を表示するのに対し、解釈的用法 (interpritive use) の発話は他人の発話や思考を解釈して表示する。たとえば、「この部屋は広い」とか「私が使っているパソコンは黒色だ」は現実の状況を表示するため記述的用法であるのに対し、「彼の今の発言はつまりこういうことだ」とか「この文学作品はそういうことだろう」は現実の状況でなく他人の思考や発話を発話者が解釈して述べたもので解釈的用法にあたる。
たとえばカウンセラーは来訪者が話したことを「つまり、~~ということだね」と繰り返したり、「君は・・・という気持ちだったのだね」と感情の反映を行ったりしますが、これらは解釈的用法になります。あるいは翻訳者は原作者が表示した発話(原典)を解釈して、その結果を他言語で訳すため、翻訳は解釈的用法と言えるでしょう。この点についてはGutt (1991) が詳しいです。
■ 関連性理論の応用
最後に、関連性理論の応用について紹介します。(勉強会でももっとも盛り上がった部分です。) 本書では広告の例を用いて説明してあってとても分かりやすかったのですが、ここではアドバイス(メタファー)を例にとって説明してみたいと思います。(ここからは勉強会中に出た話しなので誤りがあるかもしれません。お気づきの点ございましたらご指摘頂ければ幸いです。)
高校3年生の進路面談で、担任の先生が次の2つの台詞を言う時、印象はどのように違うでしょうか。
(a) 生きていると私たちは悩んだり迷ったりすることもある。しかしそれでも前に進み続けているわけだから、この時期に1つの志望校や進路先に決めてしまわなくても良くて、もう少し進路を複数考えても良いのではないでしょうか。
(b) 人生は旅なのだ。
(a) では先生が言いたいことがそのまま表されています。これなら勘違いをすることは減るでしょうし、先生が言いたいことを推測するのもそこまで大変ではありません。それに対して、(b) は先生が言いたいことがあまりよく分かりません。そのため、勘違いをする可能性もあります。しかし、先生が言いたいことを推測するために、生徒は処理労力を多くかける必要があります。また、「先生が面接でこんな短いアドバイスをするなんて」と生徒の注意をひきつける可能性もあります。そのため、(b) の方が生徒の頭の中により長く残る可能性もあります。
もちろん中には「えっ、先生、何いってるんスか。人生は旅じゃないッスよ。え、人生って旅なんスか、違うんスか?」というふうに推意を取ろうとしない生徒さんもいらっしゃるかもしれません(笑)その意味ではリスキーですが、(b) だと生徒が処理労力を多くかけ、それに見合うだけの認知効果が得られたとすれば、生徒にとって関連性が高い発話と言えるのではないでしょうか。
以上、関連性理論まとめノート第二弾でした~。
みなさん、よい夏休みを (^^)
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