先日堀井先生のNLPワークショップに参加させて頂きました。教育学や心理学といった学問は理論のみならず優れた実践をこの目で見るということが必要不可欠だと感じました。堀井先生はとても優しい方で、お話させて頂いた時も「学ぶことを楽しんで」と心に残るメッセージを頂戴しました。
またワークショップの振り返りも時間を見つけてまとめたいと思います。
というわけで、前回に引き続きNLP関連の書評記事です。
最近お世話になっているフリースクールの先生とNLPに関する話をしていた時のこと。NLPを学んでいても、なかなか実践でどのように用いれば良いかわからないと悩みを打ち明けました。すると先生からこの本を紹介して頂きました。具体的な事例集で、教師として用いる場合のみならず、家族や友達、仕事の先輩後輩とやり取りをする中でもよく見られる場面だったので、非常にイメージしやすかったです。
今回は特に自分が共感した場面を1つだけ取り上げて説明したいと思います。興味のある方はぜひ手にとって頂きたく思います。
森菊江さん「すごいね!頑張っているね!」(p.133)
英語教室に通うAさんという生徒(小3)と筆者の森先生の話です。ある日、Aさんが家で100回CDを聞いて覚えてきたと先生に言います。先生はもちろん褒めて、発表してもらうことになりました。しかし、Aさんは途中でつっかえてしまい、先生のサポートつきでやっと全文を言い終える状態でした。
すると、周りの子から本当に100回も聞いたのか、嘘をついたのではないか、と言われてしまいます。Aさんは涙をこぼします。
さて、ここで教師としてできることは何があるのでしょうか。
・周りの子に「そんなこと言わないの。」と言う
・Aさんに「気にしないで。次上手くいくよ。」と言う
自分だったらこれくらいのことしか考えつかなさそうです。
(生徒が泣いてしまった経験もありますが、頭が真っ白になったことしか覚えていません(;_;))
その時、森先生は以下のように伝えたそうです。
「100回聞いたんだよね!私はあなたを信じるよ。頑張ったね!」
すると、Aさんは泣くのをやめて、それ以来CDを聞くのを続けます。次第に暗唱もできるようになり、徐々に自信がついていったそうです。
この場面を読んで、自分の英会話教室での振る舞いを反省しました。できた子を褒めたり、行動面(暗唱などのパフォーマンスなど)に対して評価をしたりすることはできていても、その子の言葉を信じていると伝えることは自信をもって出来たとは言えません。
教育学では「フィードバック」という言葉があります。生徒のパフォーマンスに対して評価を与えることを指すのですが、ここではむしろ「私はあなたを信頼している」というメッセージを伝えています。そうしてAさんは自信をもって次からもCDを聞いてこれたのです。つまり外面に現れない「内面へのフィードバック」となるのでしょう。外面に見えない分、教師が想像力を働かせる必要がありますが、信頼関係を築くのも内面への働きかけのはずです。自分もこのようなメッセージを恥ずかしがらずに伝えられるようにしたいと感じました。
最後に、森先生の信念が特に現れている以下の箇所を引用したいと思います。
「出来・不出来」、「発音が良い・悪い」、「聴いた回数が多い・少ない」という行動・能力レベルで判断するのではなく、「私はあなたの言う事を信じているよ」、「私はあなたの努力を認めるよ」、「あなたはすごいね!」という「あなたを信用・信頼しているよ」というメッセージを伝えたかったからです。
私は、生徒一人一人の良いところを声に出して伝えることで、生徒が「かけがえのない自分」、「価値のある自分」「夢を持った自分」「人に受け入れられている自分」を発見し、肯定的な自己を形成して行くサポートをしていく人でありたいと思います。(p.134)
このような実践例を読んでも、上手くいったケースを読んでついつい自己満足してしまいがちですが、今回は自分の普段の振る舞いを内省することができました。そして塾や家庭教師などの実践を通して、自分も行動に移せるようにできたらと思います(^^)
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内面のフィードバック。私もそんなことは考えていませんでした。これからのアルバイトで気を付けます。
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